お風呂で楽しむテレビは、本当に楽しめるのか使ってみた

特集

2006/08/09 23:41



――「借りモノ」レビュー:プリンストン お風呂テレビ「PTV-WWTV7」

 バスタブに体を横たえて、飲み物を片手に好きなテレビ番組など見ながら、くつろぎのバスタイムを楽しむ――。まるでハリウッド映画のような入浴シーンを実現するのが、防水加工を施した「お風呂テレビ」だ。風呂でテレビを見て本当に楽しめるのか? 実機をお借りして試してみた。


テレビ本体(左)と無線チューナー


●清潔感あふれる白いボディ。使い方はいたって簡単

 現在風呂場で楽しめるテレビはいくつか発売されているが、今回試したのは無線LANに対応する防水仕様の液晶テレビセット、プリンストンテクノロジーの「PTV-WWTV7」だ。製品構成は、無線チューナーとテレビ本体に分かれている。無線チューナーで受けたテレビ番組や無線チューナーに接続したHDD-DVDレコーダーなどの映像を無線LAN経由でテレビに飛ばして視聴する、という製品だ。

 設置と設定はいたって簡単。まず、無線チューナーに付属の無線LAN用アンテナを取り付けACアダプタ経由で電源を確保。さらに今度はテレビアンテナからのケーブルを接続する。同梱のアンテナケーブルは長さが1mしかないので、無線チューナーを設置する場所によっては、もっと長いケーブルを自前で用意する必要があるだろう。一方、テレビ本体のほうにもACアダプタをつないで、充電しておく。正面の充電ランプが消灯すれば、充電完了だ。アダプタをはずし、あとはテレビ本体の電源ボタンを押して電源オンにするだけで、自動的に通信が確立。無線チューナーから送られた映像がワイヤレスで映し出される。複雑な無線設定などは一切必要ない。


1mのアンテナケーブルが付属するが一般家庭ならもっと長いケーブルを必要かも。
ACアダプターは、無線チューナー用とテレビ本体用の2つ


●テレビ本体からチューナーに自動的に無線接続

 無線チューナーとテレビ本体は1対1対応なので、テレビ本体側で自動的に電波をスキャンして、通信状態を維持してくれる。メニューから通信チャンネルを任意に設定することもできるが、通常はまったく操作の必要はないだろう。「PTV-WWTV7」は、無線周波数に5GHz帯(IEEE802.11a)を使用している。IEEE802.11aは、最高54Mbpsの通信速度を持ち、電波干渉による速度低下を起こしにくいのが特徴だ。自宅でインターネット接続に無線LANを利用している人の多くは、IEEE802.11bまたは802.11gという2.4GHz帯の無線規格を使っているはず。最近は、ワイヤレス電話機などでもデジタル方式としてこの周波数帯を利用するものが増えているが、「PTV-WWTV7」が用いているIEEE802.11aは、IEEE802.11bや802.11gと干渉しないという点でも有利だ。

 「鉄筋コンクリートなどを挟むと通信できないことがあります」と取扱説明書に注意書きがあったが、筆者の自宅マンションでは、鉄筋の壁が無線チューナーとテレビ本体との間にあっても、まったく問題なく快適な映像を楽しむことができた。試しにテレビ本体を屋外に持ち出してみたが、金属製の玄関扉を挟んでも大丈夫。さらに条件次第では30mくらい離れていても受信できるようだ。一般的な家庭では、無線チューナーを家屋の中央部(複数階あるお宅は中央のフロア)に設置しておけば、テレビ本体を家中どこに持っていっても受信できそうだ。


テレビ本体を屋外に持ち出してみた。多少ブロックノイズが出るケースもあったが、
無線チューナーからおおむね約30mくらい離れても受信できた


●テレビはもちろん、DVD映画もワイヤレスで視聴可能

 視聴できるテレビのチャンネルは、VHFが1~12チャンネル、UHFが13~62チャンネル、CATVがC13~C38チャンネルとなっている。CATVを見る場合は、メニューから「テレビチャンネル」の変更が必要だが、その操作も実に簡単だし、受信可能チャンネルは自動的にスキャンしてくれるので手間はかからない。メニュー操作やチャンネルの選択、音量のアップダウンは、すべてテレビ本体前面のボタンから操作できるようになっている。


無線チューナーの背面。S映像、映像、音声の各外部入力端子がある。
デジタルチューナーやDVDプレーヤー、ビデオカメラなども接続でき、
無線でテレビに飛ばすことができる


 無線チューナーが対応しているのはアナログ地上波とCATVの一部だけで、残念ながら、地上デジタル放送やBS放送のチューナー機能は搭載していない。しかし、無線チューナーには外部入力端子が用意されているので、そこに外付けのデジタルチューナーやDVD-HDDレコーダーなどをつなげば、地上デジタル放送やDVD映画なども楽しむことができる。ただし、その場合には操作できるのは音量のみとなるため、チャンネルの切り換えなどは、無線チューナーに接続したデジタルチューナーやDVD-HDDレコーダー側で行うことになる。

 テレビ本体は、リチウムイオンポリマ電池を内蔵しており、最大5時間充電すると完全充電で、最大3時間の視聴が可能だ。筆者の試用した機体では、ほぼ公称値どおりの視聴時間が得られた。これなら、DVDの映画を十分楽しむことができる。液晶画面のサイズは7インチワイド(約33.7万画素)と大きく、表示方式は、アスペクト比16:9または4:3のいずれかに設定できるようになっている。左右の視野角が広いので、斜めからでもよく見える画面だ。


画面は、4:3と16:9のフル表示で切り替えられる


●濡れても安心のテレビ本体で夏場の長風呂を満喫

 ただワイヤレスというだけでなく、テレビ本体が防水仕様になっているのが、「PTV-WWTV7」の最大の魅力である。防水性能は、JIS防水保護等級6耐水型相当。いかなる方向から水の直接噴流を受けても内部に水が入らないというもので、さすがに水没させてはダメだが、濡れた手で触ったり、シャワーをかけたりするくらいなら大丈夫だ。


バスルームで使ってみた。鮮明な画像で楽しめる。スタンドも安定していて、
同梱のパーツを使えば壁掛けテレビとしても利用できる


 というわけで、筆者もバスルームに持ち込んで試用してみたのだが、これが実に快適だった。お風呂でテレビを見るというのが、こんなに優雅な気分になれるものだとは知らなかった。暑さが厳しいこの時期、ともすれば手早くシャワーだけですませてしまいがちなのだが、ぬるめのお湯に半身浴で浸かりながら、サッカー中継や映画、ドラマなどを楽しんでいると、疲労感まで湯舟に溶けていくような感じだ。さすがに、飲み物片手に、とまではいかなかったが、暑い夏の半身浴にはうってつけかもしれない。


JIS防水保護等級6耐水型相当の防水仕様で、シャワーがかかっても大丈夫。
ただし、水に濡れる状態で充電やヘッドホンの使用はできない


●無線LANだから電波も安定。防水仕様で価格的にも◎

 最後に、あえて「PTV-WWTV7」に注文をつけるとすると、モニタ本体に搭載されたステレオスピーカーがやや物足りない点。防水仕様のためか、音に厚みがない。高音よりなので、ときに耳障りな音になってしまう。重低音の再生がもう少ししっかりできれば、もっと気持ちよく視聴できるようになるはずだ。それと、内蔵電池の充電時間がもう少し短く、視聴可能時間がもう少し長くなれば、さらに言うことはないのだが…。

 防水タイプのテレビは他社からも発売されているが、チューナー一体型のものが多い。ところが、バスルームではテレビ電波を安定的に受信できず、映像が乱れて見るに堪えないケースが多かった。液晶画面も3インチ程度と小さい機種がほとんどだ。「PTV-WWTV7」はチューナー部を独立させ、アンテナケーブル経由で受信したテレビ放送をデジタル圧縮して、無線でモニタ本体に送信しているため、映像はほとんど乱れない。また、同様の方式をとるワイヤレステレビもあるが、無線規格に電波干渉を受けやすいIEEE802.11gを採用していたり、価格が10万円前後するものだったりして、手を出すのがためらわれる。市場実売価格で5万円を切る「PTV-WWTV7」は、価格面でも魅力的な製品といえるだろう。プリンストンテクノロジーによると、予想以上の人気で現在品薄状態らしい。プチセレブ気分に浸りながらバスルームでテレビを見る??そんな楽しみ方に目覚めたのは、どうやら筆者だけではないようだ。(フリーライター・中村光宏)

*WebBCNランキング編集部「借りモノ」レビューとは、借りてきた製品について、個人的な体験をもとに使用感などをまとめたものです。このほか、編集部員自らが購入した製品を対象とする「自腹」レビュー、社として購入した製品を対象とする「社腹」レビュー、もらい物を対象とする「他腹」レビューなどがあります。