苦杯をなめた日本代表の陰で大活躍の日の丸PC、ドイツW杯現地レポート
【カイザースラウテルン発・谷畑良胤】 ドイツの首都ベルリンなど12会場で参加32か国がしのぎを削る「2006FIFAワールドカップドイツ大会」。日本の初戦がまさかこんな形で結末を迎えるとは……。失意のオーストラリア戦観戦記を交えながら、気を取り直し、サッカーフリークを迎え入れるドイツの風景やメディアセンターを支えて大活躍の日本製のPC、さらに空前の「薄型テレビブーム」を迎える欧州のデジタル家電事情をレポートする。
●「ドーハの悲劇」に匹敵する敗北
6月12日。3度目となるW杯の初戦。気温30度を超す猛暑と湿気に満ちた中、日本はオーストラリアに「3対1」という歴史的な敗北を喫した。カイザースラウテルンの英雄サッカー選手を称えて名付けられた「フリッツ・ヴァルター・シュタディオン」に日本から遠路観戦に来たサポーターは、「あの忌々しい歴史の1ページである『ドーハの悲劇』に匹敵する敗北だ」と、口々に語っていた。
特派員である筆者は、オーストラリアベンチ真後ろの席から観戦した。間近で見ると、日本の粗が簡単に見てとれる。筆者なりに日本の敗因を挙げると次の3つに集約できる。「ケガが癒えないFW柳沢の起用」「ディフェンスの要、坪井の負傷退場」「後半に中盤の足が止まった」。FW柳沢はボールを受けても、敵選手をうまく交わすことができず、パスも正確性を欠き、焦るほどにオフサイドが増えた。日本サポーターはそれでも「ヤナギサ?ワ!」と、ミスをしても叫び応援し続けた。しかしDF坪井は予想通り、相手の攻撃を完全に封じていた。前半、敵陣側に席があった筆者から見たDF坪井の動きは輝いていた。だが、突然のケガ。この衝撃は大きかった。最後に中盤。「体格に勝るオーストラリアに勝つには、運動量で勝負」と見られていたが、後半、攻撃の起点となるはずのMF中村俊輔とMF中田英寿のスピードはみるみる減速した。
カイザースラウテルンの地元チームであるFCカイザースラウテルンは「赤い悪魔」と呼ばれているが、今回、日本は「黄色い悪魔」に撃破された。日本人にとってドーハは「悲劇」を連想させる忘れられない地名になったが、ここカイザースラウテルンもまた忘れたくても忘れられない都市の1つになってしまったようだ。
●メディアセンターのPCは東芝がサポート
世界中から集まった記者たちは、試合が終わるたびにこうした記事を全世界に向けて配信している。その本拠地「メディアセンター」を支えるのが東芝だ。02年、日本と韓国が共催した「2002 FIFAワールドカップ」に引き続き、東芝はドイツ大会でも「オフィシャルITパートナー」を務める。同社は世界で300‐400億人が観戦するワールドカップを「世界最大のスポーツイベント、世界最大のITイベント」と位置づけ、日本、欧州の現地法人が総力を上げて大会をバックアップ。提供するノートPCは、日本対オーストラリア戦が行われたドイツ南西部にある大学町の片田舎、カイザースラウテルンにある球場「フリッツ・ヴァルター・シュタディオン」だけでなく、全12会場などに2000台以上を数える。
ワールドカップを支えるために配置された東芝のノートPCは、メディアセンターのほか、認証センターにも設置され、FIFAスタッフや大会組織委員会の職員、競技場の運営を協力するボランティアスタッフにも提供された。来場者や職員の認証用PCとしても活躍している。これらを含めれば、トータルで3000台近くが設置されているという。大会期間中の4週間は、世界一通信量の多いネットワーク環境になり、現地で約25万人のユーザーがアクセスを要求し、チームメンバーや審判、メディア、運営スタッフなど約5万人が電話やインターネットなどを利用することになる。
東芝のノートPCのテクノロジーが大会主催者のFIFAに認められたのは、「堅牢性」「持ち運び性」「安全性」に他ならない。また、西田厚聰・現社長は、欧州担当の20年前にノートPCを地元に根付かせた張本人でもあり、思い入れは並大抵ではない。早くから、世界を見据え製品をグローバル展開していた強みは、FIFAも認めるところだ。期間中は、ノートPCを会場に納入・設置した欧州の東芝関係者が現場サポートも担う。さらに、もしもの故障時には現場スタッフが即応できる体制を整えている。
東芝は、今大会の世界的な経済効果をワールドカップが開催されない例年の1.5倍と算出。ノートPCだけでなく、AV機器を含め相当額の売り上げを見込んでいる。当然、ワールドカップ開催に合わせ例年より早く世界で新製品を投入し、早期需要を獲得する狙いだ。「オフィシャルITパートナー」になることで、東芝の社名、製品は世界で90‐100億人に認知されると試算している。
●酒場では前夜から火花散る「敵」同士
日本対オーストラリア戦の前日、記者は決戦の地から東へ100Kmほどの都市であるマンハイムに宿泊した。街の中心部にある広場では、地元の「adidas」などが提供するブースが立ち並び、ファストフードを振る舞う露天で、市民がソーセージなどを食らう。「ラウル、カカ、ラウル(ドイツの仮想敵はスペインなのか、ブラジルなのか?)……」。スター選手を想定した看板をボールでドリブルしながら交わし、タイムを競うゲームを楽しむ少年の姿が、日曜日、遅い日没を迎える午後9時頃まで見られた。ここドイツでは、国民と現地入りした各国サポーターのすべてがワールドカップに浸っている。
この街の酒場は、オープンテラスの店が多い。スポーツバーが立ち並び、日本で例えると、さながら青山か表参道を彷彿とさせる。夜の帳が下りる頃、三々五々人たちが集まる。まさに欧州風のレンガ造りに彩られた街の光景は、第1次、第2次大戦を模した映画のワンシーンを呼び起こし、歴史の重みを感じさせる。店内からは、テレビで試合を観戦する市民の歓声に混じり、「サムライブルー」のユニフォームやコスチュームを着た日本人に対し、この日、決戦するオーストラリアのサポーターが拳を向ける。
「Japan、Japan、Uoo……」。意味不明の言葉を発する“敵”には、当然、日本のサポーターも拳を胸にかざし二度三度当て、人差し指を見舞わせる。「一触即発」とまでいかないまでも、応援するサポーターも高揚する気分を抑えられないでいた。しかし、日本サポーターは、前夜に敵国サポーターに手向けた拳を下げざるを得なかった。試合後、オーストラリア・サポーターに「強かったですね?」と握手を求めると、「Lucky game!」と、どう解釈すべきか悩む余裕の返答を受けることになった。
●欧州では今「薄型テレビ」が大ブレイク、「クリスマス商戦が何度も」
「クリスマス商戦が何度も来ている状態」。欧州地区のAV機器販売の陣頭指揮を執る東芝情報システム英国社の安部嘉男社長は、オーストラリアの決戦当日、「サムライブルー」のユニフォームを着て取材に答えてくれた。イタリアで開催された「トリノオリンピック」は、「欧州の部分的な盛り上がり」(安部社長)で、需要効果が薄かった。だが、ワールドカップは欧州人すべての関心事だ。今、欧州には、日本に遅れて「薄型テレビ」ブームが訪れているという。04年に欧州全体での販売台数は400‐500万台、05年は倍増し800‐900万台に達した。06年はワールドカップ効果や地上デジタルへの移行などがも手伝い1400万台を超えるとの推計があるそうだ。機種では、32インチが販売台数の半数近くを占め、この市場に向け各社が価格戦略などでしのぎを削っている。
東芝はハイビジョン画質を売りにする液晶テレビ「REGZA」で、欧州人の心をつかんでいる。今年4月は各国で対前年同月比2倍以上の売り上げを記録した。最も市場が大きいイギリスでは前年対比240%、フランスが200%、ワールドカップ開催地のドイツが230%も成長した。欧州トータルでは250%程度の拡大という。だが、各国が狙う市場だけに、競合対策は厳しい。東芝は4月後半、32インチの液晶テレビを1200ユーロ(約18万円)から「999ユーロ(約15万円)」に値下げした。「東芝は、市場の成長以上に伸びることは確実」(安部社長)と自信を見せる。
●保守的なドイツでは、ようやくワイド画面が普及期に
それでも「とても大きな需要を期待していた開催国ドイツで、ワールドカップ効果がなかなか立ち上がらなかった」と、ドイツ市場のAV機器を担当する東芝システム欧州社の西村弘志・副社長は、日本が「歴史的な敗北」を喫した夜にドイツ料理に舌鼓する中で取材に答えた。しかし、「なかなか立ち上がらず……」というよりは、期待値が大きかったに過ぎないようだ。東芝のドイツでのテレビ市場シェアは通常6%程度。しかし、5月末現在(1‐5月)で10%程度までにシェアを拡大。一時は15%程度までに達したという。
ドイツでは、ようやく16対9のワイド画面が普及期に差し掛かっている。それまでは4対3の画面が勢力を保っていた。「ドイツ人は保守的。しかし、ハイファイの需要が世界でも早くきた国で、画質など製品のクオリティを追求する傾向がある」(西村副社長)と付加価値の高さを売りに攻勢をかける。それでも、東芝がワールドカップのスポンサーであることや、異例の広告料を投入していることが影響し、「東芝製の指名買いが多い」(同)と、手ごたえを感じているという。
液晶テレビが伸びる一方、ハードディスク搭載DVDレコーダーは市場形成が遅れている様子だ。「ハードディスクに映像を保存する文化がまだない」(西村副社長)ことが要因。しかし、日本に遅れること2‐3年で訪れた「薄型テレビ」ブームを見れば、ハードディスク搭載DVDレコーダーブームが数年後に来てもおかしくない。この“潮目”を見極めることで「東芝にチャンスが訪れる」(同)と期待する。(欧州市場の動向や流通・卸の詳細は、週刊BCNで詳報)
●日本サポーターが街を埋め尽くす日を願って……
日本敗戦の夜。マンハイムをイタリア人が占拠していた。深夜まで車のクラクションが街中に響き、中心部の公園では若者の男女200人以上のイタリア人がドイツ人DJに合わせ奇声を上げ続けた。「羨ましい」。ここでは、勝者による街の占拠は許される。日本サポーターが街を埋め尽くす日は来るのだろうか。スペインのクラブチームで「銀河系軍団」と呼ばれるレアルマドリードのサポーターは、この地元チームを「愛情」と呼び称える。日本の次戦はクロアチア。国民すべてが信じれば、日本に大勝利をもたらし、ジーコ監督の故郷ブラジルに勝利することも不可能ではない。そんな展開を願ってやまない。
●「ドーハの悲劇」に匹敵する敗北
6月12日。3度目となるW杯の初戦。気温30度を超す猛暑と湿気に満ちた中、日本はオーストラリアに「3対1」という歴史的な敗北を喫した。カイザースラウテルンの英雄サッカー選手を称えて名付けられた「フリッツ・ヴァルター・シュタディオン」に日本から遠路観戦に来たサポーターは、「あの忌々しい歴史の1ページである『ドーハの悲劇』に匹敵する敗北だ」と、口々に語っていた。
特派員である筆者は、オーストラリアベンチ真後ろの席から観戦した。間近で見ると、日本の粗が簡単に見てとれる。筆者なりに日本の敗因を挙げると次の3つに集約できる。「ケガが癒えないFW柳沢の起用」「ディフェンスの要、坪井の負傷退場」「後半に中盤の足が止まった」。FW柳沢はボールを受けても、敵選手をうまく交わすことができず、パスも正確性を欠き、焦るほどにオフサイドが増えた。日本サポーターはそれでも「ヤナギサ?ワ!」と、ミスをしても叫び応援し続けた。しかしDF坪井は予想通り、相手の攻撃を完全に封じていた。前半、敵陣側に席があった筆者から見たDF坪井の動きは輝いていた。だが、突然のケガ。この衝撃は大きかった。最後に中盤。「体格に勝るオーストラリアに勝つには、運動量で勝負」と見られていたが、後半、攻撃の起点となるはずのMF中村俊輔とMF中田英寿のスピードはみるみる減速した。
カイザースラウテルンの地元チームであるFCカイザースラウテルンは「赤い悪魔」と呼ばれているが、今回、日本は「黄色い悪魔」に撃破された。日本人にとってドーハは「悲劇」を連想させる忘れられない地名になったが、ここカイザースラウテルンもまた忘れたくても忘れられない都市の1つになってしまったようだ。
●メディアセンターのPCは東芝がサポート
世界中から集まった記者たちは、試合が終わるたびにこうした記事を全世界に向けて配信している。その本拠地「メディアセンター」を支えるのが東芝だ。02年、日本と韓国が共催した「2002 FIFAワールドカップ」に引き続き、東芝はドイツ大会でも「オフィシャルITパートナー」を務める。同社は世界で300‐400億人が観戦するワールドカップを「世界最大のスポーツイベント、世界最大のITイベント」と位置づけ、日本、欧州の現地法人が総力を上げて大会をバックアップ。提供するノートPCは、日本対オーストラリア戦が行われたドイツ南西部にある大学町の片田舎、カイザースラウテルンにある球場「フリッツ・ヴァルター・シュタディオン」だけでなく、全12会場などに2000台以上を数える。
ワールドカップを支えるために配置された東芝のノートPCは、メディアセンターのほか、認証センターにも設置され、FIFAスタッフや大会組織委員会の職員、競技場の運営を協力するボランティアスタッフにも提供された。来場者や職員の認証用PCとしても活躍している。これらを含めれば、トータルで3000台近くが設置されているという。大会期間中の4週間は、世界一通信量の多いネットワーク環境になり、現地で約25万人のユーザーがアクセスを要求し、チームメンバーや審判、メディア、運営スタッフなど約5万人が電話やインターネットなどを利用することになる。
東芝のノートPCのテクノロジーが大会主催者のFIFAに認められたのは、「堅牢性」「持ち運び性」「安全性」に他ならない。また、西田厚聰・現社長は、欧州担当の20年前にノートPCを地元に根付かせた張本人でもあり、思い入れは並大抵ではない。早くから、世界を見据え製品をグローバル展開していた強みは、FIFAも認めるところだ。期間中は、ノートPCを会場に納入・設置した欧州の東芝関係者が現場サポートも担う。さらに、もしもの故障時には現場スタッフが即応できる体制を整えている。
東芝は、今大会の世界的な経済効果をワールドカップが開催されない例年の1.5倍と算出。ノートPCだけでなく、AV機器を含め相当額の売り上げを見込んでいる。当然、ワールドカップ開催に合わせ例年より早く世界で新製品を投入し、早期需要を獲得する狙いだ。「オフィシャルITパートナー」になることで、東芝の社名、製品は世界で90‐100億人に認知されると試算している。
●酒場では前夜から火花散る「敵」同士
日本対オーストラリア戦の前日、記者は決戦の地から東へ100Kmほどの都市であるマンハイムに宿泊した。街の中心部にある広場では、地元の「adidas」などが提供するブースが立ち並び、ファストフードを振る舞う露天で、市民がソーセージなどを食らう。「ラウル、カカ、ラウル(ドイツの仮想敵はスペインなのか、ブラジルなのか?)……」。スター選手を想定した看板をボールでドリブルしながら交わし、タイムを競うゲームを楽しむ少年の姿が、日曜日、遅い日没を迎える午後9時頃まで見られた。ここドイツでは、国民と現地入りした各国サポーターのすべてがワールドカップに浸っている。
この街の酒場は、オープンテラスの店が多い。スポーツバーが立ち並び、日本で例えると、さながら青山か表参道を彷彿とさせる。夜の帳が下りる頃、三々五々人たちが集まる。まさに欧州風のレンガ造りに彩られた街の光景は、第1次、第2次大戦を模した映画のワンシーンを呼び起こし、歴史の重みを感じさせる。店内からは、テレビで試合を観戦する市民の歓声に混じり、「サムライブルー」のユニフォームやコスチュームを着た日本人に対し、この日、決戦するオーストラリアのサポーターが拳を向ける。
「Japan、Japan、Uoo……」。意味不明の言葉を発する“敵”には、当然、日本のサポーターも拳を胸にかざし二度三度当て、人差し指を見舞わせる。「一触即発」とまでいかないまでも、応援するサポーターも高揚する気分を抑えられないでいた。しかし、日本サポーターは、前夜に敵国サポーターに手向けた拳を下げざるを得なかった。試合後、オーストラリア・サポーターに「強かったですね?」と握手を求めると、「Lucky game!」と、どう解釈すべきか悩む余裕の返答を受けることになった。
●欧州では今「薄型テレビ」が大ブレイク、「クリスマス商戦が何度も」
「クリスマス商戦が何度も来ている状態」。欧州地区のAV機器販売の陣頭指揮を執る東芝情報システム英国社の安部嘉男社長は、オーストラリアの決戦当日、「サムライブルー」のユニフォームを着て取材に答えてくれた。イタリアで開催された「トリノオリンピック」は、「欧州の部分的な盛り上がり」(安部社長)で、需要効果が薄かった。だが、ワールドカップは欧州人すべての関心事だ。今、欧州には、日本に遅れて「薄型テレビ」ブームが訪れているという。04年に欧州全体での販売台数は400‐500万台、05年は倍増し800‐900万台に達した。06年はワールドカップ効果や地上デジタルへの移行などがも手伝い1400万台を超えるとの推計があるそうだ。機種では、32インチが販売台数の半数近くを占め、この市場に向け各社が価格戦略などでしのぎを削っている。
東芝はハイビジョン画質を売りにする液晶テレビ「REGZA」で、欧州人の心をつかんでいる。今年4月は各国で対前年同月比2倍以上の売り上げを記録した。最も市場が大きいイギリスでは前年対比240%、フランスが200%、ワールドカップ開催地のドイツが230%も成長した。欧州トータルでは250%程度の拡大という。だが、各国が狙う市場だけに、競合対策は厳しい。東芝は4月後半、32インチの液晶テレビを1200ユーロ(約18万円)から「999ユーロ(約15万円)」に値下げした。「東芝は、市場の成長以上に伸びることは確実」(安部社長)と自信を見せる。
●保守的なドイツでは、ようやくワイド画面が普及期に
それでも「とても大きな需要を期待していた開催国ドイツで、ワールドカップ効果がなかなか立ち上がらなかった」と、ドイツ市場のAV機器を担当する東芝システム欧州社の西村弘志・副社長は、日本が「歴史的な敗北」を喫した夜にドイツ料理に舌鼓する中で取材に答えた。しかし、「なかなか立ち上がらず……」というよりは、期待値が大きかったに過ぎないようだ。東芝のドイツでのテレビ市場シェアは通常6%程度。しかし、5月末現在(1‐5月)で10%程度までにシェアを拡大。一時は15%程度までに達したという。
ドイツでは、ようやく16対9のワイド画面が普及期に差し掛かっている。それまでは4対3の画面が勢力を保っていた。「ドイツ人は保守的。しかし、ハイファイの需要が世界でも早くきた国で、画質など製品のクオリティを追求する傾向がある」(西村副社長)と付加価値の高さを売りに攻勢をかける。それでも、東芝がワールドカップのスポンサーであることや、異例の広告料を投入していることが影響し、「東芝製の指名買いが多い」(同)と、手ごたえを感じているという。
液晶テレビが伸びる一方、ハードディスク搭載DVDレコーダーは市場形成が遅れている様子だ。「ハードディスクに映像を保存する文化がまだない」(西村副社長)ことが要因。しかし、日本に遅れること2‐3年で訪れた「薄型テレビ」ブームを見れば、ハードディスク搭載DVDレコーダーブームが数年後に来てもおかしくない。この“潮目”を見極めることで「東芝にチャンスが訪れる」(同)と期待する。(欧州市場の動向や流通・卸の詳細は、週刊BCNで詳報)
●日本サポーターが街を埋め尽くす日を願って……
日本敗戦の夜。マンハイムをイタリア人が占拠していた。深夜まで車のクラクションが街中に響き、中心部の公園では若者の男女200人以上のイタリア人がドイツ人DJに合わせ奇声を上げ続けた。「羨ましい」。ここでは、勝者による街の占拠は許される。日本サポーターが街を埋め尽くす日は来るのだろうか。スペインのクラブチームで「銀河系軍団」と呼ばれるレアルマドリードのサポーターは、この地元チームを「愛情」と呼び称える。日本の次戦はクロアチア。国民すべてが信じれば、日本に大勝利をもたらし、ジーコ監督の故郷ブラジルに勝利することも不可能ではない。そんな展開を願ってやまない。