やっぱり「あれ」がダントツ、『WebBCNランキング』記事アクセスランキングに見る2005年
今店頭で何が起きているのか? 全国2200以上のデジモノ系販売店から毎日収集されるPOSデータ分析を中心に、ホットなニュースをお届けしているWebBCNランキング。05年のデジモノトレンドの総括特集としてアクセス総数シェアで「売れ筋記事」をランキング。2005年を振り返る。
今店頭で何が起きているのか? 全国2200以上のデジモノ系販売店から毎日収集されるPOSデータ分析を中心に、ホットなニュースをお届けしているWebBCNランキング。05年のデジモノトレンドの総括特集としてアクセス総数シェアで「売れ筋記事」をランキング。2005年を振り返る。
●05年、最もホットな話題はやはり携帯オーディオだった
2.38%ものアクセス件数シェアで見事トップを獲得したのは4月に発表された「ウォークマン大逆転、ついにiPod Shuffleを抜き一躍トップに」。ぶっちぎりの1位となった。4月、市場を席巻するアップルのiPodに待ったをかけるべく、ソニーが起死回生を懸け満を持して発売した新ネットウォークマン。その発売直後4日間の動きを速報で取り上げた。携帯オーディオ市場ではそれまで販売シェアは5%程度とほとんど存在感のなかったソニーが、メモリ型のカテゴリーに限るとはいえ、いきなり首位を奪取した模様を伝えている。
対アップルの構図が明確となるよう、当時のiPodのラインアップにあわせてメモリ1GB以上、1GB未満、HDD10GB以上、10GB未満と、細分化して集計。ソニーが「メモリのカテゴリーに限ると」トップに立ったと報じたことなどが物議をかもした。WebBCNランキングサイトには実に100を超えるトラックバックがつけられ、しまいには編集長が長文のコメントでトラックバックに答えるという事態に発展。こうした状況もアクセス数を伸ばす要因となったようだ。
この「BCNランキング」のデータは、テレビ東京が「ウォークマン iPod 抜く!?」と題して「クロージングベル」でいち早く紹介するなど、メディア各社がこぞって取り上げた。なお、このメモリタイプでのソニーのトップシェアは8月初旬まで続いた。
しかし、7位にシェア1.21%ランクインした「iPod nanoが垂直発進、初登場1位で早くも市場塗り替える勢い」にもあるように、王者アップルの反撃は強烈で、ソニーの完全逆転は夢と終わることになる。8月のiTunes Music Store、9月のiPod nano、10月の動画対応iPodと矢継ぎ早の戦略投下。とくに大きな衝撃をもって迎えられたのが9月のnanoだった。そのスタートダッシュはすさまじく、販売台数シェア推移を見ても文字通り垂直に近い立ち上がりを示した。メモリ4GBで3万円を切るという圧倒的なコストパフォーマンスにiPodというブランド力が加わって、今年の大ヒット商品となった。
こうした熾烈な戦いを反映してか、記事ランキング上位20の中だけでもiPodの関連記事は約半数の9件を占め、アクセスシェアでもなんと11.53%を記録した。携帯オーディオ、とりわけiPodがいかにホットな年であったかかがよくわかる。シェア1.17%でランキング10位につけた「ユニクロ、iPod shuffle用カバー「カラーウェア」で初の商品ジャンルに挑戦」では、あのユニクロまでもiPodのアクセサリ市場に参入するという加熱ぶりを伝えた。
●デジカメに新しい流れ、もはや「普通のカメラ」としての認識高まる
アクセスシェア1.59%で2位につけたのは、8月に発表された「フリーカメラマンが選ぶ 趣味人のためのデジカメ」。日常用途なら十分きれいな写真が撮れる500万画素デジカメの台頭で画素数競争は一段落。そんな05年、別の視点からのカメラを選びを提案したものだ。防水や広角といったプロならではポイントが新鮮だった。
シェア1.47%でランキング5位につけた「デジカメ売れ筋20、キヤノンIXYのワンツー体制崩れる! 刺客は松下LUMIX」も、コンパクトデジタルカメラの転換点を示した記事。それまでキヤノンIXYが築いていた不動の地位を揺るがしたのは、手ブレ補正を武器に登場した松下のLUMIXだった。画素数で写真の美しさを語る時代は終わり、写真そのものの美しさを追求する時代に突入。その結果、撮影の失敗で最も典型的な手ブレを補正して撮影技術の不足分をカメラが補うという発想が生まれた。そして手ブレ補正は大きな流れとなって定着。これは「デジカメ」がもはや特別な人のためのカメラではなく、日常に溶け込んだ普通の人が使う「普通のカメラ」としての認識が高まった証しとも言えるのではないだろうか。
●超大画面化が進んだPCの05年、06年に反動の兆し?
大画面の薄型テレビがより一般化したことを反映して、12月に発表した記事が早くもランクイン。「今 買い の大型液晶TVは32V型? 24%もの値下がりで一層お手頃に」がシェア1.21%で7位につけた。メーカーにして、「32V型クラスは価格競争が激しくうまみがない」と言わしめる激戦地帯。買う側からすれば32V型の液晶テレビは逆に「おいしい」サイズとも言える。実際激安ショップでは10万円台のものも登場し始めており、一気に身近になってきた。この冬購入した家庭も多いのではないだろうか。
大画面化の流れは、PCにも波及した。シェア1.13%でランキング11位の「売れる「ドデカPC」、テレビとPCの融合、家庭から」は、そうした流れをまとめたもの。まさか1人で運べない32インチの「PC」が発売されるなんて、数年前なら想像もできなかったことだろう。こうした傾向はノートPCにも表れている。「言わば折りたたみ重戦車PC、ハイパワーノート台頭のなぜ」はトップ20位圏外の53位ながら、ノートPCの大型化が進む模様を伝える記事として評判を呼んだ。また「折りたたみ重戦車」という表現が「よくわからない」「わからないが面白い」などと一部で話題になった。
しかし、シェア0.88%でランキング20位の「ノートPC売れ筋20、今が盛りの夏モデル、完熟買い得マシンは?」が伝えるように、数が出ている売れ筋のノートPCはいわゆるコモディティ(日用品)路線の低価格ノート。年末商戦序盤の集計でも同様で、この傾向は1年を通して変わることはなかった。
大画面化が進むノートPCに、新たな兆し見え始めたのが、先ごろ各社一斉に発表した06年の春モデルだ。重量1kg前後で、バッテリー稼働時間が6時間超のピュアモバイル、つまり常に持ち歩いて使うためのノートPCが、NECと富士通の2台メーカーから相次いで発表された。このカテゴリーで強さを発揮しているのは松下のLet's noteシリーズ。ある古参のモバイラーに言わせると「現時点で選択肢は事実上これしかない」と言わしめるほどのブランド力を誇っている。この分野にPCの2大メーカーが改めて本格進出することで、マーケットの活性化も予想される。新モデルで各社がどれだけの実力を発揮するのか、今から楽しみだ。
●PCをつくる子どもの「目」に将来の希望を託したい
05年は子どもの悲惨な事件が多い年だったが、それを反映しICタグなどの技術で子どもの安全を守るという記事も多かった。子どもといえば、ベスト20の圏外ながらもシェア0.57%で37位になった「小学生が考えた未来のテレビ、アイディアコンテストでグランプリ」は印象的だった。ALSという難病のおじいさん。体の自由が利かずリモコンを操作することもできない。けれど、せめて大好きなテレビが自由に使えたらと、「まばたき」で操作できるテレビのアイディアで応募、見事グランプリに輝いた。
また8月に発表した「子どもが手づくりノートPC、やった! 動いた! みんなの瞳は輝いていた」は、ノートPCを子どもが自ら組み立てるという夏休み恒例企画「手づくりLet's note工房」の取材記事だ。個人的に選ぶならこれがベスト1。アクセスランキングでは上位100位の圏外となりシェアも集計ができなかったが、05年、最も印象に残る記事となった。なかでも、特筆すべきはノートPCを組み立てる子どもたちの「目」。そして無事PCが立ち上がったときの笑顔と歓声。
「これがあるから、また1年頑張ろうと思えるんです」という主催者である工場長の言葉も忘れられない。もちろん取材スタッフも、彼らの真剣な姿勢と眼差しに大いに励まされた。こうした「ものづくりの喜び」をシンプルに伝え、分かち合えるような話題も積極的に取り上げながら、今後もWebBCNランキングをさらに充実させていきたい。(WebBCNランキング編集長・道越一郎)
今店頭で何が起きているのか? 全国2200以上のデジモノ系販売店から毎日収集されるPOSデータ分析を中心に、ホットなニュースをお届けしているWebBCNランキング。05年のデジモノトレンドの総括特集としてアクセス総数シェアで「売れ筋記事」をランキング。2005年を振り返る。
●05年、最もホットな話題はやはり携帯オーディオだった
2.38%ものアクセス件数シェアで見事トップを獲得したのは4月に発表された「ウォークマン大逆転、ついにiPod Shuffleを抜き一躍トップに」。ぶっちぎりの1位となった。4月、市場を席巻するアップルのiPodに待ったをかけるべく、ソニーが起死回生を懸け満を持して発売した新ネットウォークマン。その発売直後4日間の動きを速報で取り上げた。携帯オーディオ市場ではそれまで販売シェアは5%程度とほとんど存在感のなかったソニーが、メモリ型のカテゴリーに限るとはいえ、いきなり首位を奪取した模様を伝えている。
対アップルの構図が明確となるよう、当時のiPodのラインアップにあわせてメモリ1GB以上、1GB未満、HDD10GB以上、10GB未満と、細分化して集計。ソニーが「メモリのカテゴリーに限ると」トップに立ったと報じたことなどが物議をかもした。WebBCNランキングサイトには実に100を超えるトラックバックがつけられ、しまいには編集長が長文のコメントでトラックバックに答えるという事態に発展。こうした状況もアクセス数を伸ばす要因となったようだ。
この「BCNランキング」のデータは、テレビ東京が「ウォークマン iPod 抜く!?」と題して「クロージングベル」でいち早く紹介するなど、メディア各社がこぞって取り上げた。なお、このメモリタイプでのソニーのトップシェアは8月初旬まで続いた。
しかし、7位にシェア1.21%ランクインした「iPod nanoが垂直発進、初登場1位で早くも市場塗り替える勢い」にもあるように、王者アップルの反撃は強烈で、ソニーの完全逆転は夢と終わることになる。8月のiTunes Music Store、9月のiPod nano、10月の動画対応iPodと矢継ぎ早の戦略投下。とくに大きな衝撃をもって迎えられたのが9月のnanoだった。そのスタートダッシュはすさまじく、販売台数シェア推移を見ても文字通り垂直に近い立ち上がりを示した。メモリ4GBで3万円を切るという圧倒的なコストパフォーマンスにiPodというブランド力が加わって、今年の大ヒット商品となった。
こうした熾烈な戦いを反映してか、記事ランキング上位20の中だけでもiPodの関連記事は約半数の9件を占め、アクセスシェアでもなんと11.53%を記録した。携帯オーディオ、とりわけiPodがいかにホットな年であったかかがよくわかる。シェア1.17%でランキング10位につけた「ユニクロ、iPod shuffle用カバー「カラーウェア」で初の商品ジャンルに挑戦」では、あのユニクロまでもiPodのアクセサリ市場に参入するという加熱ぶりを伝えた。
●デジカメに新しい流れ、もはや「普通のカメラ」としての認識高まる
アクセスシェア1.59%で2位につけたのは、8月に発表された「フリーカメラマンが選ぶ 趣味人のためのデジカメ」。日常用途なら十分きれいな写真が撮れる500万画素デジカメの台頭で画素数競争は一段落。そんな05年、別の視点からのカメラを選びを提案したものだ。防水や広角といったプロならではポイントが新鮮だった。
シェア1.47%でランキング5位につけた「デジカメ売れ筋20、キヤノンIXYのワンツー体制崩れる! 刺客は松下LUMIX」も、コンパクトデジタルカメラの転換点を示した記事。それまでキヤノンIXYが築いていた不動の地位を揺るがしたのは、手ブレ補正を武器に登場した松下のLUMIXだった。画素数で写真の美しさを語る時代は終わり、写真そのものの美しさを追求する時代に突入。その結果、撮影の失敗で最も典型的な手ブレを補正して撮影技術の不足分をカメラが補うという発想が生まれた。そして手ブレ補正は大きな流れとなって定着。これは「デジカメ」がもはや特別な人のためのカメラではなく、日常に溶け込んだ普通の人が使う「普通のカメラ」としての認識が高まった証しとも言えるのではないだろうか。
●超大画面化が進んだPCの05年、06年に反動の兆し?
大画面の薄型テレビがより一般化したことを反映して、12月に発表した記事が早くもランクイン。「今 買い の大型液晶TVは32V型? 24%もの値下がりで一層お手頃に」がシェア1.21%で7位につけた。メーカーにして、「32V型クラスは価格競争が激しくうまみがない」と言わしめる激戦地帯。買う側からすれば32V型の液晶テレビは逆に「おいしい」サイズとも言える。実際激安ショップでは10万円台のものも登場し始めており、一気に身近になってきた。この冬購入した家庭も多いのではないだろうか。
大画面化の流れは、PCにも波及した。シェア1.13%でランキング11位の「売れる「ドデカPC」、テレビとPCの融合、家庭から」は、そうした流れをまとめたもの。まさか1人で運べない32インチの「PC」が発売されるなんて、数年前なら想像もできなかったことだろう。こうした傾向はノートPCにも表れている。「言わば折りたたみ重戦車PC、ハイパワーノート台頭のなぜ」はトップ20位圏外の53位ながら、ノートPCの大型化が進む模様を伝える記事として評判を呼んだ。また「折りたたみ重戦車」という表現が「よくわからない」「わからないが面白い」などと一部で話題になった。
しかし、シェア0.88%でランキング20位の「ノートPC売れ筋20、今が盛りの夏モデル、完熟買い得マシンは?」が伝えるように、数が出ている売れ筋のノートPCはいわゆるコモディティ(日用品)路線の低価格ノート。年末商戦序盤の集計でも同様で、この傾向は1年を通して変わることはなかった。
大画面化が進むノートPCに、新たな兆し見え始めたのが、先ごろ各社一斉に発表した06年の春モデルだ。重量1kg前後で、バッテリー稼働時間が6時間超のピュアモバイル、つまり常に持ち歩いて使うためのノートPCが、NECと富士通の2台メーカーから相次いで発表された。このカテゴリーで強さを発揮しているのは松下のLet's noteシリーズ。ある古参のモバイラーに言わせると「現時点で選択肢は事実上これしかない」と言わしめるほどのブランド力を誇っている。この分野にPCの2大メーカーが改めて本格進出することで、マーケットの活性化も予想される。新モデルで各社がどれだけの実力を発揮するのか、今から楽しみだ。
●PCをつくる子どもの「目」に将来の希望を託したい
05年は子どもの悲惨な事件が多い年だったが、それを反映しICタグなどの技術で子どもの安全を守るという記事も多かった。子どもといえば、ベスト20の圏外ながらもシェア0.57%で37位になった「小学生が考えた未来のテレビ、アイディアコンテストでグランプリ」は印象的だった。ALSという難病のおじいさん。体の自由が利かずリモコンを操作することもできない。けれど、せめて大好きなテレビが自由に使えたらと、「まばたき」で操作できるテレビのアイディアで応募、見事グランプリに輝いた。
また8月に発表した「子どもが手づくりノートPC、やった! 動いた! みんなの瞳は輝いていた」は、ノートPCを子どもが自ら組み立てるという夏休み恒例企画「手づくりLet's note工房」の取材記事だ。個人的に選ぶならこれがベスト1。アクセスランキングでは上位100位の圏外となりシェアも集計ができなかったが、05年、最も印象に残る記事となった。なかでも、特筆すべきはノートPCを組み立てる子どもたちの「目」。そして無事PCが立ち上がったときの笑顔と歓声。
「これがあるから、また1年頑張ろうと思えるんです」という主催者である工場長の言葉も忘れられない。もちろん取材スタッフも、彼らの真剣な姿勢と眼差しに大いに励まされた。こうした「ものづくりの喜び」をシンプルに伝え、分かち合えるような話題も積極的に取り上げながら、今後もWebBCNランキングをさらに充実させていきたい。(WebBCNランキング編集長・道越一郎)