中国のコピー機市場は「直販、直サービス」で攻める――第72回
富士ゼロックス 代表取締役社長 山本忠人
構成・文/谷口一
撮影/大星直輝
山本 現実をいえば、まだまだ直販が回れていない地域もありますし、大型機は売れるのだけど、メンテナンスができないのですよ。中国は広大ですから訪問するのに何時間もかかりますし……。早く直販、間接、e販の三営業を一定のレベルにまでもっていって、中国全体を津々浦々まで営業ができる体制を構築したいと思っています。
奥田 たしかに広大ですね。メンテナンスも大変でしょうね。
山本 問題はそこですね。それに売り上げを拡大していくには、ブランドの確立が絶対に必要だと感じています。富士ゼロックスは、沿岸地区の大手にはかなり認知されつつありますが、コンシューマ市場向けの商品はやっていませんから、法人向けのメーカーというイメージが強いのです。そういうメーカーが、どのように中国の企業に役立つかということを訴えながら、富士ゼロックスのブランド価値を引っ張り上げていく。それを売り上げとともに引き上げていかないと、中国では成功しないと思っています。
奥田 一方で、広大な市場だからこそ、伸びしろは十分にあるとみていいと……。
山本 中国の市場はまだまだ伸びます。当社が成長していくには、優秀な営業担当者がカギを握ると考えています。そういう考えのもとに、新しく投資をしています。今、中国には最優先で投資しています。ベトナムとかミャンマーとかあるけれど、やっぱりそれ以上に中国には伸びしろがあると思っていますから。
奥田 50年、100年という長い時間軸でおうかがいしたいのですけれど、中国での売上高が日本国内と並ぶ時というのはあるのでしょうか。
山本 可能性はあるでしょうね。ある意味で中国だけではなくて、中国の周辺、アジア全体が今の状態ではなくなるでしょう。ミャンマーもラオス、カンボジアも、ずっと影響してくるとなると、地域内の貿易が巨大になるのではないですか。中国だけが大きくなるのではなくて、アジア全体が大きくなる。そうすると、もっと中国そのものの影響力が出てくる時代がくるのかなという気がしますね。
山本 情報システムは、最初はスタンドアローンからですが、そういうものがデジタル化とかクラウド化とか、いわゆる最近のICT(情報通信技術)の進化にともなって、各企業の基幹系システムとデータ系、イメージ系のものが融合せざるを得ない時期にきていると思います。
奥田 コピー機もそういう時代に入ってきているのですね。
山本 そう。それに、そこにコストダウンの要素もあるわけです。
奥田 ユーザー企業もコストダウンに期待しますしね。
山本 ところが現状の構図というのは、IT企業はIT企業で私どものお客様の分野に入っていますし、われわれも同じお客様のところに入っている。それらのお客様に対して効率を高めるとかコストダウンとかという話になれば、基本的にはわれわれの製品とお客様が保有されているITシステムとが、融合しなければ課題解決につながらないわけです。今はどこのお客様にいっても、ITインフラは構築されていますから、それとの融合という観点でみれば、SIerさんとのつき合いは不可欠になることは間違いありません。そういうふうに感じています。自社が自らシステム構築のノウハウをもつという手もありますが、われわれはもともとIT企業ではありませんから、SIerさんと組まないと本来のソリューションは提供できないと思っています。
奥田 SIerと組むことによって、新しいソリューションが生まれる、と。その成果を期待しております。
奥田 たしかに広大ですね。メンテナンスも大変でしょうね。
山本 問題はそこですね。それに売り上げを拡大していくには、ブランドの確立が絶対に必要だと感じています。富士ゼロックスは、沿岸地区の大手にはかなり認知されつつありますが、コンシューマ市場向けの商品はやっていませんから、法人向けのメーカーというイメージが強いのです。そういうメーカーが、どのように中国の企業に役立つかということを訴えながら、富士ゼロックスのブランド価値を引っ張り上げていく。それを売り上げとともに引き上げていかないと、中国では成功しないと思っています。
奥田 一方で、広大な市場だからこそ、伸びしろは十分にあるとみていいと……。
山本 中国の市場はまだまだ伸びます。当社が成長していくには、優秀な営業担当者がカギを握ると考えています。そういう考えのもとに、新しく投資をしています。今、中国には最優先で投資しています。ベトナムとかミャンマーとかあるけれど、やっぱりそれ以上に中国には伸びしろがあると思っていますから。
奥田 50年、100年という長い時間軸でおうかがいしたいのですけれど、中国での売上高が日本国内と並ぶ時というのはあるのでしょうか。
山本 可能性はあるでしょうね。ある意味で中国だけではなくて、中国の周辺、アジア全体が今の状態ではなくなるでしょう。ミャンマーもラオス、カンボジアも、ずっと影響してくるとなると、地域内の貿易が巨大になるのではないですか。中国だけが大きくなるのではなくて、アジア全体が大きくなる。そうすると、もっと中国そのものの影響力が出てくる時代がくるのかなという気がしますね。
SIerとのつき合いは不可欠
奥田 最後の質問ですが、今後、日本のSIerとはどんな関係を築いていこうと考えておられますか。山本 情報システムは、最初はスタンドアローンからですが、そういうものがデジタル化とかクラウド化とか、いわゆる最近のICT(情報通信技術)の進化にともなって、各企業の基幹系システムとデータ系、イメージ系のものが融合せざるを得ない時期にきていると思います。
奥田 コピー機もそういう時代に入ってきているのですね。
山本 そう。それに、そこにコストダウンの要素もあるわけです。
奥田 ユーザー企業もコストダウンに期待しますしね。
山本 ところが現状の構図というのは、IT企業はIT企業で私どものお客様の分野に入っていますし、われわれも同じお客様のところに入っている。それらのお客様に対して効率を高めるとかコストダウンとかという話になれば、基本的にはわれわれの製品とお客様が保有されているITシステムとが、融合しなければ課題解決につながらないわけです。今はどこのお客様にいっても、ITインフラは構築されていますから、それとの融合という観点でみれば、SIerさんとのつき合いは不可欠になることは間違いありません。そういうふうに感じています。自社が自らシステム構築のノウハウをもつという手もありますが、われわれはもともとIT企業ではありませんから、SIerさんと組まないと本来のソリューションは提供できないと思っています。
奥田 SIerと組むことによって、新しいソリューションが生まれる、と。その成果を期待しております。
「中国は広大な市場だからこそ、伸びしろは十分にあるとみていいと……」(奥田)
(文/谷口 一)
Profile
山本 忠人
(やまもと ただひと) 1945年10月、神奈川県生まれ、68年、山梨大学工学部卒業。同年4月、富士ゼロックスに入社。94年1月、取締役VIP事業部長。2002年6月に代表取締役専務執行役員。その後、技術開発・生産・品質本部などを管掌し、07年6月、代表取締役社長に就任、現在に至る。