2020年、中国の著作権問題はクリアになるか――第54回
弁護士法人フラーレン 代表 谷口由記
構成・文/谷口一
大阪という土地柄
奥田 いずれにしても、アジアに興味というか、アジアにご自身の仕事の場を広げようという意識はもっておられた。谷口 ええ。
奥田 それは何か特別な思いみたいなものがあるんですか。
谷口 いや特別ということでもないんですけど、大阪という土地柄は、もともと在日韓国人の方も在日中国人の方も結構多くて、韓国や中国という国に対してあまり抵抗感がないんです。
奥田 ああ、なるほど。弁護士という職業柄、二歩も三歩も相手の懐に入っていくわけですから、なおさらなんでしょうか。
谷口 やっぱり仕事柄、そういうこともありますね。在日韓国人の方は今、二世三世の人たちですけど、日本人からみたら韓国人ですよね。でも、彼らが韓国に帰っても韓国人とは見てくれないんです。存在として中間的なんです。夢をもって向こうへ帰っても、壁があってうまくいかなくて、日本へ戻ってくる人も結構いるんですよ。
奥田 先生のお仕事のなかでもそういうケースがありますか。
谷口 そうですね。ある意味で彼らは可哀想だなという気持ちもありますけど。ただ、優秀な人は優秀ですしね…。そういうなかにいて常々思っているのは、アジアと仲良くやっていくべきだということです。
奥田 それで、中国に進出されたわけですか。
谷口 2003年ですけど、その前に98年と99年に向こうの大学に短期留学しているんです。
奥田 どこの大学へ?
谷口 北京外国語大学と北京大学と上海の復旦大学です。社会人向けの講座で中国語の勉強をしました。
奥田 短期というと?
谷口 1か月くらいですけど、みっちりと朝から晩まで中国語の勉強です。歴史博物館の見学や北京料理を食べに行ったこともありましたが。
奥田 ちょっとうらやましいですね。そこで中国語を覚えて、いよいよ2003年に上海に進出されるわけですね。
谷口 そうです。チャンスがないかなぁとねらっていましたから。