「家業の哲学」を経営に生かす――第26回

千人回峰(対談連載)

2008/08/04 00:00

山田哲也

山田哲也

サンワサプライ 代表取締役社長

 山田 NECのファクシミリを売るようになったことが、この業界との接点ですね。

 実は、私は3代目でして、企業としては100年近く続いているのですが、先代は繊維工場や段ボール工場を経営していました。1978年頃のことですが、その会社の納品書をつくったり、給与計算をするためのオフコンをNECから買いました。先代からは「儲かってもいないのにこんなモノ買いやがって」と叱られましたが…(笑)。

 それがきっかけで、NECから「ファクシミリを売ってみないか」と持ちかけられまして、しばらくするとPC8801シリーズがリリースされます。これもやってみると、けっこう売れる。そうしているうちに、お客さんからは「ケーブルを持ってこい、置き台はないのか」といった要望が次々と寄せられるのですが、それをNECに相談すると「そんな細かなものはウチで扱っていないから、おたくで勝手にやってくれ」というんです。

 奥田 それが現在のサンワサプライにつながってきたというわけですね。

 山田 そういうことです。本当は、いわゆるサプライ品よりも少しハード寄りかソフト寄りの商品も手がけたかったのですが、本拠地が岡山なので情報の「距離」がある。それなら二番情報でできるものでいいかと。

 奥田 山田さんの、このトークがくせものなんですね。真に受けちゃいけない(笑)。それで、社名変更をしたのが1979年だと。

 山田 ええ、祖父が起業し、しばらく休眠状態にあった平和興業株式会社をサンワサプライ株式会社に社名変更し、この頃から少しずつ品目数が増えてきました。

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