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「データ」の重要性を教えてくれた恩師――第22回

千人回峰(対談連載)

2008/05/19 00:00

パトリック J.マクガバン

パトリック J.マクガバン

IDG 会長

クオリティの維持に全力

 奥田 ウェブで情報を発信するに当たって、どんなところに気をつけていますか。

 マクガバン 一番重要なのはクオリティをどう維持していくかだと考えています。人が集まるのにこしたことはありませんが、数だけではない。

 SNSのように、集まった人たちがコンテンツを書いてくれるというのはリスクは少ないでしょうけれど、私はその路線にはあまり関心がありません。ただし、コミュニティの場を作ることは重要だと考えていて、データベースの充実を図り、リピーターを増やしていく努力を続けています。

ベンチャー企業に20億ドル投資

 奥田 国による事情の違いはありますか。

 マクガバン ヨーロッパの場合、オンラインの読者は30%といったところかな。中国は40%、インドはテレコミュニケーションに弱く、インターネットの普及率は2.5%といったところでしょう。ですから、インドでは“紙”がまだ伸びています。

 じつは私どもはベンチャーキャピタルも運営していまして、1992年に中国での投資を開始、今では世界中で220のベンチャー企業に総額およそ20億ドル投資しています。

 奥田 投資の見返りはいいのですか。

 マクガバン 最初にはじめた中国での収益はいいですね。100倍くらいになって戻ってます。

 奥田 へぇ! 100倍とはすごい。

 マクガバン たとえば、検索エンジン「百度」を運営している百度公司に投資していますが、同社の年間利益の40%を得ています。モバイル用メッセージングの企業とか、オンラインリザベーションの企業とか、成功しているところが登場しており、つい先頃はインベスターとして表彰されました。

 奥田 韓国でもはじめたんですね。

 マクガバン ええ。韓国の複数のベンチャー企業に約3億5000万ドル投資することにしました。

 奥田 これも、当然ながら成算があっての投資なのでしょうね。ますますのご隆盛を祈っております。

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Profile

パトリック J.マクガバン

1964年、インターナショナル・データ・グループ創業。1982年には日本にIDG Japan設立。現在世界85か国で300以上のコンピュータ関連情報紙・誌と400以上のウェブサイトでIT関連情報を発信。コンピュータ関連の展示会/イベントもビジネスとして運営している。