IDGのパトリックJ.マクガバン会長は、私にとって恩師の一人である。コンピュータ・ニュース社(現BCN)を1981年8月に創業して1年ほどが経った頃、縁あってマクガバンさんに会うことができた。『コンピュータワールド』などを発刊、すでに業界で情報提供会社として大いなる実績をあげていた同氏に「成功の要因は何ですか」と尋ねたら、「ランキング、ラーンキング」と歌うようにして答えてくれた。私がデータの重要さに目覚めたのはこの一言だった。【取材:2008年2月22日、BCN本社にて】
「千人回峰」は、比叡山の峰々を千日かけて歩き回り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借しました。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れることで悟りを開きたいと願い、この連載を始めました。
「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
株式会社BCN 社長 奥田喜久男
<1000分の第22回>
※編注:文中の企業名は敬称を省略しました。
※編注:文中の企業名は敬称を省略しました。
“紙”の読者は1億2000万人、ウェブは2億人
奥田 成功の秘訣を尋ねたときに、マクガバンさんが「ランキング、ラーンキング」と歌うように答えてくれた瞬間を今でも鮮明に覚えています。BCNの方向性はあの時に決まったと言ってもよく、マクガバン会長はBCNランキングのゴッドファーザーだと思っています。さて、今回はウェブで成功する秘訣などを教えてもらおうと…。マクガバン そんな秘訣があったら、私のほうが知りたいですよ。ただ、IDGの場合で言いますと、ウェブは着実に伸びています。
現在、世界85か国で300以上のコンピュータ関連の情報紙・誌を発行、400以上のウェブサイトを開設しています。その売り上げの内訳をみますと、2000年頃はプリント(紙媒体)が73%、ウェブは8%に過ぎなかったのですが、今はプリント40%、ウェブ35%になっています。残りはイベントです。
『コンピュータワールド』の場合ですと、3-4年前は300ページ建てのうち広告が200ページなんてこともあったけれど、今では25ページがせいぜいですね。
奥田 御社のホームページによりますと、2007年度の売上高が30億2000万ドルですか。うらやましいですね。いったい、どれくらいの読者、閲覧者がいるんですか。
マクガバン いわゆる“紙”の読者が1億2000万人、ウェブは2億人はいるでしょう。そのうち、両方読んでいる人が6000万人はいると思いますが、半分の人はウェブだけになっていきますね。紙媒体も併せて読み続けるのは25%といったところでしょう。
とにかく、ウェブのいいところはマージンが高いことです。プリントの場合、用紙代や印刷代に膨大なコストがかかるのに対し、ウェブは制作コストが非常に安く、粗利は40-45%はとれる。プリントなら粗利5-10%くらいかな。