苦闘10年で生産管理システムの雄に――第17回

千人回峰(対談連載)

2007/12/03 00:00

梶山桂

リード・レックス 社長 梶山桂

ERPメーカーとは協調路線

 奥田 ERPメーカーとは協調路線を取ってますね。これはどんな理由からなんですか。

 梶山 当社もERP全体を自社開発していた時期もあるんですよ。でも、会計パッケージの分野では後発であり、先行メーカーに追いつくのは大変だと判断したんです。先行メーカーの製品はそれぞれに完成度は高いし、お金持ちの企業でもある。それで生産管理に絞りました。

 彼らとはケンカするよりも、協調したほうがよいと考え、今では全方位的に協調路線を取っています。

 奥田 だけど、ERPメーカーのなかに、生産管理システムへの進出を考えているところがあるかもしれませんよ。

 梶山 それは仕方ありません。でも、生産管理システムというのは参入障壁が非常に高いのですよ。たとえば、製造業の原価計算というのは複雑で、入社してから退職するまでその仕事しかやってこなかったというような人がゴロゴロいるわけです。そうした人たちと対等に話ができるようになるには、10年以上の経験が必要です。だから、思いついたからといって、すぐに着手できるものではない。

今後の課題は中国市場の強化

 奥田 MIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム)に参加しておられますね。海外事業の強化はどのように取り組んでいくのですか。

 梶山 MIJSにはソフトブレーンの松田孝裕さんに誘われて参加しました。この1年、インターフェイスの共通化など、地道な努力を続け、成果が形になりつつありますね。

 当社自身は、中国での事業強化を最大の課題と考えており、2002年に上海にオフィスを構えました。そこで、中国でのマーケティングの難しさというのをいろいろ経験させられました。たとえば、中国では、日本人会の名簿ですら、基本的には作ってはいけないことになっているんです。反社会的活動に利用されるかもしれないというのが理由で、日本人会の名簿は北京だけは公認されていますが、上海は黙認の状況です。

 ですから、中国に進出している日本企業の動向把握というのは、われわれ規模の企業にとっては予想以上に大変なんですよ。でも、改善、改良、諦めないの信念を貫けば、中国でも成功できると信じてます。

 奥田 具体的な目標はお持ちですか。

 梶山 昨年の記者会見では、12年までには国内と同等規模に増やすと発表しましたけれど、ちょっと遅れるかもしれません。でも、地道に、シコシコ努力していきますよ。

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Profile

梶山桂

(かじやま けい)  1944年6月10日、東京生まれ。1968年、慶応大学経済学部卒業、日本ユニバック入社。71年から72年にかけ、米ベル研究所、米ユニバックで研修。74年7月4日、リード・レックス設立。81年、カード型データベースDATABOX発売。94年、生産管理システムR-PiCS発売。