常に新たなテーマに挑戦――第11回

千人回峰(対談連載)

2007/06/05 00:00

手嶋 雅夫

ティー・アンド・ティー 社長 手嶋雅夫

 奥田 私が手嶋さんを知ったのはこの頃でしたね。立ち上がりは順調で、本社より伸びていると話題になっていたと思うのですが。

 手嶋 ええ、日本法人は順調に立ち上がっていたんですよ。ところが1994年になってアルダスとアドビが合併しました。それで、1994年5月24日――日にちまで明確に覚えています――弁護士事務所から呼び出しがありまして、合併後の体制作りの相談かななんて思いながら、その事務所を訪ねたんですが、いきなり、社長解任だと宣告されたんです。

 奥田 いかにもアメリカの企業らしいね。「外資系企業の日本法人社長は、日本企業の名古屋支店長クラスと言われている」とBCNに書いたことを思い出しましたよ。

 手嶋 ビックリしたけど、どうしようもない。これがアメリカの会社なんだということを体験させられました。

45歳で自前の会社T&T設立

 奥田 マクロメディアも順調に発展してましたね。それなのに2001年には社長を辞めちゃった。

 手嶋 45歳を目前にして、雇われ社長じゃなく、自分の会社を持ちたいなと思って、2000年12月にティー・アンド・ティーベンチャーズを設立、2001年2月から業務を開始しました。

 私自身のマーケティング理論に多少自信が持てるようになりましたので、コンサルティングとベンチャーキャピタルの機能を融合させた、まったく新しい形の企業を目指しました。単に出資だけ、コンサルタントだけという第三者的な関与でなく、企業経営に実際に参加し、共に成功することを活動の中心に据えています。

 奥田 だから、いろいろな会社と関わりを持っているわけですか。関係会社を見ますと、異色なところが並んでいますね。たとえば、会員制ネイルサロン「NAIL STATION」を運営するベレックスというのはどんな会社なんですか。

 手嶋 ツメの形を整えたり、マニュキュアを落とすなどのサービスをしています。すでに40店くらいのチェーン展開を行っているんですが、利用者は旅客機の客室乗務員や外資系会社の女子社員など知的水準の高い女性が多いのが目立ちます。入会金は別途必要ですが、月3990円で会員になれば、どの店でも何回でもサービスを受けることができます。

 1回あたりの所要時間は約30分で、美容院よりも効率が良く、10平方メートル(3坪)でもお店を開くことができます。

 奥田 もうひとつの会社、リラクというのは?

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