日本語プラス1つの外国語を――第10回

千人回峰(対談連載)

2007/05/21 00:00

志賀徹也

オートデスク 元社長 志賀徹也

英語くらいしゃべろうよ

 奥田 オートデスクのことはまだ生々しすぎると思いますので、いずれお聞きすることにして、国産、外資系企業の両方を経験されて、とくに日本の若者たちに助言するとしたら、どんなことを言いたいですか。

 志賀 日本の閉じられた社会の中だけでものを考えていてはダメ、という点は痛切に感じます。グローバル化というのは否応なく進んでいかざるを得ないですから、とくに若い人たちには英語くらいは習得して欲しいですね。英語が分かる、分からないでは情報量が格段に違ってきます。たとえば、CNNの言ってることと日本のマスコミの言ってることは違ってることが多いんですよ。

 私も昔は、日本は特別と考えていた時期もあるんですが、突き詰めていくと特別なところなどありはしないんです。

 商慣習の違いは確かにあります。でもそれは、直したほうがいい点が多い。例えば、お客様は神様ですといいますが、本当はお客様とベンダーはイコールパートナーであるべきなんです。まくれというので、ここの情報を開示してくれれば、もっと安くできるかもしれませんといっても、それはいやだという。コミットはせずに要求だけはする、これは日本のお客様の悪いところでしょう。

 販売契約において、きちんとしたプログラムを作ろうとしても、この段階でそこまで決めなくてもいいんじゃないの、と曖昧模糊としたままに進めようとする。それで後になって、これだけ売ったんだからキックバックしてよなどと言い出すケースが多い。この辺も悪しき習慣だと思います。

 とくにファイナンスにおいてはもっと透明度を上げていないと、国際社会のなかではいずれ問題になるでしょうね。

 奥田 英語くらいしゃべれ、ですか。

 志賀 英語なんて決して難しくありませんよ。毎日やっていれば、いやでも身につく。私は、マッカーサーが強引に英語を国語化してくれてたほうが、日本にとってはよかったのではないかと考えたこともあります。とにかく今後のグローバル化のなかで日本が発展していくためには、若い人たちに、日本語に加えてプラス1つ、英語でも中国語でも、国はどこでもいいですから他国語を操れるようになって欲しいと思います。

 奥田 ありがとうございました。ライブドアの平松さんによりますと、五十、六十は鼻たれ小僧だそうです。また、お会いしましょう。

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Profile

志賀徹也

(しが てつや)  1947年4月生まれ。70年早稲田大学理工学部電気工学科卒業、日本電子に入社。74年日本デジタルイクイップメント(日本DEC)入社、89年システムエンジニアリング本部本部長、92年PC事業部本部長、94取締役チャネル本部長などを歴任。95年アップルコンピュータ入社、ワールドワイドセールス担当副社長を経て、96年代表取締役社長に就任。97年オートデスク代表取締役社長就任、01年から米オートデスク本社副社長兼務。07年2月オートデスク退社。